今日は司法試験についてお話ししようと思います。具体的には、私がこれまでどのように勉強してきたのか、また、どんな勉強をすれば司法試験に合格できるのかというお話です。
成績についてですが、予備試験の論文式試験では10位、公述試験では1位という結果でした。司法試験では、担当式・論文式ともに10位前後で、総合順位は4位でした。ロースクールでも入学から卒業まで一貫して成績トップ、いわゆる主席でした。
イメージとしては、すべての科目でA評価、一部はA+がついているといった感じです。
こうした成績について、私は「大したことない」と謙遜するつもりはありません。自分のこれまでの成績には誇りを持っています。
ただし、私がこれらの成績を取れたのは、決して自分の頭が特別良いとか、才能があるからではないと考えています。確かに法律との相性が良かった部分もあると思いますが、それ以上に「正しい方法で勉強を継続できたこと」が大きかったと感じています。
そこで今日は、「正しい勉強法」についてお話ししていきます。なお、この「正しい勉強法」は、法律に限らず、他の試験にも通用するものだと思っています。ただし、「正しい」といっても、これはあくまで現時点での私の考えに過ぎません。「これが絶対に正しい」「他はすべて間違っている」という意図ではありませんので、その点はご理解ください。
正しい勉強法とは何か
「正しい勉強法」とは何か。
それは、知識の習得(インプット)と、知識の活用(アウトプット)を、バランスよく行うことです。
まず「知識の習得」とは、テキストを読んで知識を身につけることです。
そして「知識の活用」とは、その習得した知識を使って問題を解いたり、答案を書くこと。いわゆる問題演習です。
この基本的なプロセスができていない人が、実はかなり多いです。
司法試験と聞くと「何か特別なことをやらないと」と思い込んでしまう人も多くいます。
また、予備校のカリキュラムに沿ってはいるものの、自分が何のためにその勉強をしているのか分からなくなってしまう人も少なくありません。
たとえば、難しい専門書を読み漁ったり、学術誌の論文を読んでしまうケース。
これは、大学受験の数学でいえば、高校の教科書をマスターすれば十分なのに、いきなり大学の数学書を読むようなものです。
高度な知識を中途半端にかじる危険
司法試験の目的は「試験に受かること」であり、学者になることではありません。
高度な議論を、基礎ができていない状態で理解しようとしても、結局は中途半端な知識になります。
しかも、その知識を使う場面がないので、学んでも時間の無駄です。
さらに、変なプライドがついてしまい、人の意見に耳を貸さなくなるといった副作用もあります。
だからこそ、まずは「地に足をつけた勉強」が必要なんです。
初心者であれば、プレップシリーズなど、薄い入門書から始めるのがいいと思います。
私は「予備校のテキスト(LECのC-bookシリーズ)」を使って勉強していました。
予備校の目的は、できるだけ効率よく、最小の努力で合格に導くことです。だから、必要な情報だけが詰まっているんです。
つまり、逆にいえば「不要な情報はすべて排除されている」。
この“無駄を削ぎ落とした設計”が非常に重要なんです。
最初は「ざっくり」からでOK
法律の勉強は、最初から細かいところを覚えようとしなくて大丈夫です。
何度か同じ教材を読むうちに、法律の全体像や制度のつながりが見えてきます。
この大きな流れをつかんでから細部に入る方が、理解も記憶も格段に早くなります。
つまり、最初はマクロな視点で、ざっくり把握。その後にミクロな視点で細かく掘り下げていく。私はいつもそんなイメージで勉強しています。
知識のネットワークを作る意識
勉強するときは「知識のネットワーク」を頭の中に構築することを意識しています。
このネットワークに新しい知識をつなげると、記憶にも残りやすいですし、応用も利きやすくなります。
逆に、バラバラな知識はすぐに抜け落ちますし、問題に応用するのも難しくなります。
同じ本を何度も読むことの重要性
新しいことを学ぶ時って、最初はネットワークができていないので理解が進みにくいんです。
だから、同じ本を5回、6回、時にはそれ以上読むのが大切なんですね。
読むたびに「あ、ここって前に出てきたあの制度と関係あるんだ」とか、「これは誤解してたな」と気づきが得られるんです。
こうした“ハッとする体験”の積み重ねが、勉強を一気にレベルアップさせます。
読むスピードを止めない
勉強においては、「一度で完璧に理解しよう」としないことが大切です。
例えば、Aさんのように分からない箇所で立ち止まりながら読むと、1冊終えるのに何日もかかってしまいます。
それに対して、Bさんは分からなくてもどんどん読み進めて、同じ本を2回、3回と読んでいます。
結果的に、Bさんの方が理解が深まり、効率も良くなることが多いです。
インプットの教材の選び方
最初はプレップシリーズのような薄めの入門書から始めましょう。
それだけでは内容が物足りなく感じたら、予備校のテキストやもう少し分厚めの教材にステップアップしていけばOKです。
ただし、最初から予備校テキストに取り組む場合は、説明が簡潔すぎることもあるので、補助教材も活用すると理解が深まります。
論証パターンは基礎があってこそ
ある程度インプットが進んだら、「論証パターン」を覚えていくと効果的です。
論証パターンとは、よく出る論点の答え方のテンプレのようなものです。
ただし、これは法律知識の“上澄み”の部分です。
基礎を知らずに論証パターンだけ覚えても、応用が効きません。理解を土台にした上で使うからこそ、威力を発揮します。
ノートを取るのは非効率かも
ノートを取るよりも、何度も読む方が断然効率が良いです。
多くの人が「書かないと覚えられない」と言いますが、法律の勉強は覚えるより“理解する”ことが大事なんです。
理解が深まれば、自然と記憶に残っていきます。ノートを取る時間があれば、その分1ページでも多く読んだ方がいいと思います。
ストレスを減らして効率アップ
最近はiPadなどでテキストを読む人も増えています。
紙の教材だと見た目の重厚さにやる気が下がってしまうこともありますが、電子書籍なら気軽に取り組めます。
また、机に向かわず、ソファやベッドでも勉強してOKです。
「この姿勢じゃ集中できないかも…」なんて考える前に、1回でも多く読んで知識を入れる方が大事です。