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司法修習のリアルを完全ガイド|スケジュール・内容・給料・二回試験まで徹底解説!

今回は、司法試験に合格した後に受ける「司法修習」について、紹介します。
先生の体験やご著書をベースに、お話を伺っていきたいと思っています。

司法修習という言葉、聞いたことはあっても、具体的にどんな制度かまでは知らない方も多いのではないでしょうか。
それではさっそく、解説していきましょう。


目次

法曹になるために必要な“実務研修”

司法修習とは、司法試験に合格した人が、法曹として必要な実務スキルや倫理感を学ぶための制度です。
およそ1年間をかけて、裁判官・検察官・弁護士の実務を経験しながら学んでいきます。

この研修を修了するには、「司法修習生考試」、いわゆる「二回試験」に合格しなければなりません。

つまり、司法試験に合格しただけでは、まだ実務に就くことはできないということですね。


司法修習はタイミングも自由

司法修習は年齢やタイミングに制限がなく、合格後すぐに始める人もいれば、就職や留学を経てから参加する人もいます。
社会人合格者にとっては、自分の都合に合わせられる点が非常にありがたい制度だと感じます。

まるで教育実習や、医師の研修医のようなイメージに近いかもしれませんね。
あまり知られていないかもしれませんが、人生設計にうまく取り入れる価値のある制度です。


司法修習のカリキュラムは4段階

司法修習のカリキュラムは、以下の4つのフェーズで構成されています。

  1. 導入修習
  2. 分野別実務修習
  3. 選択型実務修習
  4. 集合修習

最後に、二回試験に合格することで、司法修習は修了となります。


スタートは和光市での導入修習

導入修習は、埼玉県和光市にある司法研修所で行われます。
全国から修習生が集まり、先輩法曹による講義やグループワーク、課題提出などに取り組みます。期間はおよそ3週間です。

ここで同期の仲間と顔を合わせ、交流が生まれるきっかけにもなります。
長い受験生活を乗り越えたあとに、仲間ができる貴重な機会でもありますね。


実務を学ぶメインステージ「分野別実務修習」

導入修習の次は、全国の各地で行われる「分野別実務修習」に移ります。
司法修習の中でもっとも長い期間を占める重要なフェーズです。

修習は以下の4つの分野に分かれています。

  • 刑事裁判修習
  • 民事裁判修習
  • 検察修習
  • 弁護修習

それぞれ約2か月ずつ、計8か月間行われます。


裁判・検察・弁護、それぞれの実務を体験

刑事裁判や民事裁判の修習では、裁判官の指導を受けながら、事件記録を読んだり、実際の裁判を傍聴したりします。
課題も多く、実務感覚が鍛えられます。

検察修習では、検察庁に出向き、取り調べの立ち会いや、起訴状作成など、実際の検察官の仕事を体験します。

弁護修習では、法律事務所を訪問し、弁護士の指導のもとで書面作成や依頼者対応を学びます。

この段階では、将来の進路について真剣に考える人も多く、どの分野を目指すかを見定める大切な期間でもあります。


自分で選ぶ「選択型実務修習」

分野別実務修習が終わると、次は「選択型実務修習」に進みます。
これは、検察庁や弁護士会などが提供する複数のプログラムから、自分の関心に合わせて選ぶことができる制度です。

自分の興味ある分野を深く学べる貴重な機会であり、キャリア選択の重要なヒントになることもあります。

集合修習で感じる「帰ってきたな」という感覚

司法修習の最後は、最初と同じく埼玉県和光市の司法研修所で行う「集合修習」です。
導入修習と同じ場所に戻ってくるので、「ああ、帰ってきたな」と感じる人も多いと思います。

ここでは、これまでに経験してきた裁判・検察・弁護それぞれの実務を振り返りながら、知識の総復習を行います。
目的は、司法修習の集大成として行われる「二回試験」に備えるためです。


最後の関門「二回試験」は想像以上にハード

司法修習を修了するには、「二回試験」と呼ばれる最終試験に合格する必要があります。
この試験は民事裁判・刑事裁判・検察・弁護・倫理の5科目にわたり、5日間連続で実施されます。

試験の形式は、実際の事件記録(100ページ前後)を読み、判決文や起訴状を起案(文章作成)するというものです。
1日1科目ずつ、昼休憩込みでだいたい7時間近く拘束されます。

正直、ものすごくハードです。3日目には腕が痛くなって動かなくなる人もいるくらい、体力勝負の面もあります。


「落ちない試験」だからこそのプレッシャー

二回試験は、基本的にほとんどの人が合格すると言われています。
ただ、その分「自分だけ落ちてはいけない」という強烈なプレッシャーがあるのも事実です。

だからこそ、多くの修習生が緊張感を持ってこの試験に向き合います。
最後の最後まで気を抜けない、まさに試練の1週間です。


修習中に経験した印象的な実務

個人的には、検察修習で実際に被疑者の取調べに立ち会った経験がとても印象的でした。
もちろん、相手はすでに罪を認めている「認め事件」が中心なので、恐怖感はそれほどありません。

それよりも、「どこをどう聴き取れば法律的に意味があるか?」といった点に集中する必要がありました。
例えるなら、初めて自動車教習所から公道に出るときのような緊張感がありました。


修習中の1日のスケジュールは?

修習の1日は、だいたい朝9時から夕方5時くらいまでが基本です。
裁判所や検察庁、法律事務所など、修習先によって若干異なりますが、業務終了後も残って勉強する人も多いです。

私はというと、基本的には定時で帰って自分の時間を大切にしていました。
走るのが好きなので、和歌山修習中は紀ノ川沿いをランニングしてリフレッシュしていました。


修習生のお給料事情

司法修習生には国から給与が支給されます。
具体的には、月額13万5千円ほどに加え、条件次第で住宅手当(上限4万5千円)も受け取れます。

副業は禁止されていますが、例外的に受験指導などは最高裁の許可があれば可能です。
生活費としてはギリギリですが、私は能登修習だったので家賃3万円の物件に住み、自炊して切り詰めて暮らしていました。


お金が不安な人には「修習専念資金貸与制度」も

収入面が不安な人には、司法修習生向けの貸与制度「修習専念資金」があります。
原則として月11万円まで借りられ、生活費の足しにすることができます。

ただし、これは「借金」なので返済が必要です。無理なく計画的に利用することが大切です。


最後に:司法修習を考えているあなたへ

司法修習は、法的な知識だけでなく、実務や倫理観、そして人とのつながりも学べるとても貴重な時間です。
受験勉強のようにインプットするだけではなく、現場で感じ、考え、動くことが求められます。

もちろん課題や二回試験など、大変なことも多いです。
でも、自分がどんな法曹になりたいか、どんな未来を描くかを考えるチャンスにもなります。

これから司法修習を目指す方には、ぜひ前向きな気持ちでチャレンジしてほしいです。
大変な道ではありますが、その先にはやりがいと誇りある仕事が待っています。

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