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弁護士の年収・手取りはいくら?弁護士白書から見るリアル


今日はいつもと少し趣向を変えて、皆さんが疑問に思っているであろうテーマについて、私が調べたことをお話ししようと思います。

具体的に何を話すかというと、「弁護士の年収」についてです。
この「弁護士の年収」や「収入」に関する話は、一般の方々がよく疑問に感じていることの一つだと思っています。

実際、私が弁護士ではない方とお会いしたときにも、「最近、弁護士って大変なんでしょう?」といった話をされることが多いんですよね。
それに対して私は、「そうなんですよ」と答えるのですが、世間のイメージと実際の収入には少しズレがあるように感じます。

そこで今回は、そのあたりの実情について、弁護士会の統計をもとにお話ししようと思います。


目次

「年収」と「所得」の違いを理解しよう

まず、皆さんにぜひ考えていただきたいことがあります。
それは、「年収」と「所得」の違いがごちゃごちゃになっているという点です。

ここで言う「年収(収入)」とは、弁護士の売上を指します。
つまり、依頼者から得た報酬の総額であり、税金や経費を引く前の金額です。

一方で、「所得」とは、収入から経費を差し引いた金額。
つまり、最終的に手元に残るお金のことです。

一般の方が想像する「年収」というのは、実はこの「所得」のことを意味している場合が多いんですよね。


弁護士は経費がかからない仕事なのか?

よくある誤解として、「弁護士はプリンターとパソコンさえあれば仕事ができるから、経費はほとんどかからない」といった話があります。
つまり、「売上=所得」と考えられがちなんですね。

でも、実際に開業弁護士として活動している立場からすると、本当にそうなのか?と疑問に思います。

現実には、弁護士も活動するためには、会費や事務所の家賃、人件費、その他の実費など、さまざまな経費がかかります。

ですから、「売上=所得」という図式は、必ずしも当てはまらないというのが実情です。


弁護士白書の統計データを見てみよう

とはいえ、抽象的な話ばかりしても仕方がないので、具体的なデータを見ていきましょう。

今回参考にするのは、2023年版の「弁護士白書」です。
これは日本弁護士連合会が発行しており、インターネット上でも閲覧できます。

この調査のサンプル数は1,954人です。
つまり、全国の弁護士の全体像を完全に反映しているわけではありませんが、ある程度の傾向は見て取れます。

ちなみに、より厳密な数字を知りたい方には、国税庁の統計も参考になります。
ただ、こちらはデータの見方がやや複雑なんですよね。

ありがたいことに、その国税庁の統計をわかりやすくまとめてくれている方もいるので、そういった情報を参考にするのも良いと思います。
とはいえ、今回の話では弁護士白書のデータを元に見ていきます。


弁護士の「収入」データ(売上)

まず、「収入」、つまり売上のデータから見ていきましょう。

  • 年間200万円以下:2.1%
  • 200万~500万円未満:6.2%
  • 500万~750万円未満:11.7%
  • 1000万円以上:16.9%
  • 1500万~2000万円未満:12.3%

このデータは「収入」、つまり売上です。
ですから、サラリーマンの方がイメージする「年収」とは異なります。
ここを誤解してはいけません。


弁護士の「所得」データ(手取り)

続いて、「所得」、つまり経費を差し引いた手取りの金額に関するデータを見ていきましょう。

  • 年間所得200万円以下:10.0%
  • 200万~500万円未満:17.6%
  • 500万~750万円未満:19.0%

ここまでで約46〜47%、つまり半数近くの弁護士が年収(所得)750万円未満ということになります。

その他のデータは以下の通りです。

  • 1000万~1500万円未満:15.9%
  • 1500万~2000万円未満:10.1%
  • 1億円以上:1.0%

このような結果を見て、意外と少ないなと感じた方もいるのではないでしょうか?


所得が低めに見える理由

この統計を見たとき、私自身も「意外と低いな」と感じました。
なぜこれほどまでに低いのかというと、一つには弁護士が「個人事業主」であることが挙げられます。

つまり、実際にはさまざまな支出を経費として計上している可能性があるということです。
確定申告の際、経費にできる範囲にはある程度の解釈の幅があるため、実態よりも低く申告されている可能性があります。

ちなみに、私はそうした経費計上を多く行うタイプではありませんが、実際には、プライベート寄りの飲み会を経費にしているケースなどもあると聞きます。

とはいえ、やはり全体として見たときに、弁護士の所得は想像よりも低い印象を受けるのが現実です。

また、所得200万円以下というケースは、そもそもあまり活動されていない弁護士の先生方が含まれている可能性もあると思います。

実質引退や駆け出しの弁護士も統計に含まれている

救急対応をしている先生や、高齢で実質的に引退しているような方もいると思います。そうした方々が、統計上の「収入が少ない10%」に含まれているのではないかと考えられます。

また、キャリアの浅い若手弁護士は、売上がまだあまりないため、統計でも低い収入として表れているのが現実です。

弁護士の収入は昔よりも確実に下がっている

統計を見て感じたのは、弁護士の所得が確実に下がってきているということです。私も実際に国税庁の統計などを調べてみたのですが、以前と比べて弁護士の売上がかなり減っているのが分かりました。

感覚的には、売上が昔の半分くらいになっているように思います。そうなると、所得も自然と半分程度になるのは当然の流れでしょう。

つまり、「最近の弁護士は稼げない」と言われることもありますが、昔と比べればある意味その通りだと言えます。

独立開業の弁護士は減少傾向にある

実際に独立している弁護士の数も減少しています。もちろん、今でも個人で事務所を構えている弁護士は多く存在しますが、以前のように気軽に独立する時代ではなくなってきたように感じます。

かつては「弁護士は経費がかからないから売上=実質年収だ」と言われていましたが、今ではこの考え方は通用しなくなっています。実際、固定費や運営コストは昔よりも確実に増えています。

年代別の所得分布を見ると…

統計では「収入」と「所得」に分けてデータが示されています。まず、200万円以下の所得の人は、どの年代にも一定数います。

次に多いのは200万〜500万円の層で、特に20代に多く見られます。そして最も多いのは、500万〜750万円未満の層です。

この層は、おそらく売上で1000〜1500万円くらいあり、そこから経費を差し引いた結果、500〜750万円ほどの所得になっているのだと思います。

弁護士の平均収入・所得の推移

年次で比較してみると、2008年の平均収入は3003万8900円でしたが、現在は2083万円となっており、約1000万円減少しています(※平均値)。

所得に関しても、2008年の平均が1667万円だったのに対し、現在は1000万円。中央値で見ても、1100万円から800万円に減っています。

それでも弁護士は高収入の職業

とはいえ、年収800万円は一般的なサラリーマンから見れば高収入です。収入は下がったとはいえ、専門職としてはまだ十分な報酬を得ていると言えるでしょう。

ただし、昔と比べると“旨味”は減っており、そこは明確な変化だと感じます。

統計から見える弁護士の格差

ネットで「弁護士」と検索すれば、こういった統計は簡単に見ることができます。ぜひ一度ご自身でも調べてみてください。

ちなみに、年収1億円を超える「1億円プレイヤー」もいます。統計によると、全体の1%ほどが該当しており、これはおよそ500人程度です。

1億円プレイヤーは再現可能?

1億円プレイヤーと聞くと特別な存在に感じますが、弁護士の人数を考慮すれば、プロ野球選手よりも数が多いという見方もできます。

もちろん、誰でも達成できるわけではありませんが、再現性がまったくない話ではないのではないでしょうか。私は全然そんなレベルではないですけどね。

弁護士の格差と現実

全体として、年収や所得の中央値は約800万円で安定していますが、一方で1億円プレイヤーも存在し、格差が広がっているという事実も見えてきます。

最近では弁護士の不祥事も増えつつあり、「何もしなくても稼げる」という時代はすでに終わっています。

弁護士を目指す前に考えてほしいこと

皆さんには、ぜひこうした統計を見て「弁護士を目指すべきかどうか」をよく考えてほしいと思います。

もちろん、お金のためではなく、志を持って目指す方も多いとは思いますが、現実としての数字も知っておくことは大切です。

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