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【離婚したいのに話し合いが進まない!】調停で解決する方法とは?弁護士が解説


今回は、夫婦の話し合いで離婚がまとまらないときに、どうすればよいかについて、弁護士の視点からお話ししていきたいと思います。

私は現役の弁護士として、数多くの離婚手続きに関わってきました。
ただ実際には、離婚に直面したときに「何をすればいいの?」「何を準備すればいいの?」と戸惑っている方がとても多い印象です。
離婚について「難しそう」と感じている方でも、通勤中などに気軽に理解できる内容をお届けできればと思っています。ぜひ最後までご覧ください。


目次

話し合いがまとまらないときは「離婚調停」

最初に、夫婦での話し合いができない場合には、「調停」という手続きに進むことになります。

離婚調停とは、家庭裁判所で行われる離婚に向けた話し合いの場です。
夫婦だけで話すのではなく、第三者である「調停委員」を間に挟んで進めていくのが特徴です。

正式には「夫婦関係調整調停」と呼ばれ、離婚だけでなく、財産の分け方、子どもの親権や面会交流、養育費といった具体的なことまで話し合っていきます。

調停委員の先生方は、離婚問題に何度も対応されている方々なので、専門家に近い立場で中立的に対応してくれます。


調停と裁判の違いとは?

離婚調停と離婚裁判の大きな違いは、結論の出し方です。

裁判は最終的に裁判官が判決を出しますが、調停は話し合いで合意に至らなければ成立しません。
つまり、調停ではお互いの納得のもとで合意を形成していく必要があります。

日本では、調停を経ずにいきなり裁判に進むことはできません。
「裁判したい」と思っても、まずは調停を行うことが義務づけられている、という点を覚えておいてください。


離婚調停の3つのメリット

離婚調停には大きく分けて3つのメリットがあります。

1. 話し合いがスムーズに進みやすい

夫婦で話しているだけでは、感情的になってしまい、なかなか前に進まないことが多いです。
たとえば、一方が離婚を望んでいるのに、もう一方が拒否している場合や、お金の話で折り合いがつかない場合など、さまざまです。

そうした状況で調停委員が間に入ると、感情的なもつれを整理し、双方にとって納得しやすい提案をしてくれるので、解決の道筋が見えやすくなります。

2. 顔を合わせずに話せる

調停では、夫婦が直接顔を合わせて話すことはありません。
基本的には別々に呼ばれ、交互に調停室に入り、30分ずつなど時間を区切って話を聞いてもらう形になります。

調停委員が必要な情報だけを相手に伝えるので、余計な感情の衝突を防ぐことができます。

特に、DVやモラハラなどで相手に恐怖心を抱いている場合にも安心して臨める仕組みです。

3. プライバシーが守られる

離婚調停は非公開で行われます。
そのため、近所の人や職場の人などに知られる心配もありません。

調停委員が話し合いの内容を漏らすこともありませんし、調停自体が行われたことも原則として秘密にされます。


離婚調停の流れと準備

では次に、離婚調停の流れと、事前に準備しておくことについてお話しします。

調停を申し立てるには、家庭裁判所に「夫婦関係調整調停申立書」を提出する必要があります。
これは裁判所のホームページで書式が公開されていて、誰でも記入できるようになっています。

必要な書類としては、戸籍謄本や収入印紙が必要です。
また、申立ては相手方の住んでいる住所地を管轄する家庭裁判所に提出します。
自分の住んでいる場所ではない点に注意してください。

ただし、DVなど特別な事情がある場合は、自分の住所地で申し立てられる「裁量移送」が認められる場合もあります。

また、住所を相手に知られたくないときには、住所の秘匿が可能です。
申立書とは別にその旨を記載した書類を提出することで対応してもらえます。


初回調停の流れとその後の進行

第1回の調停期日が決まると、裁判所から相手に通知が送られます。

当日はまず、調停の流れについて裁判所から説明があります。
「話し合いが成立しないと調停も成立しませんよ」といった基本事項の確認です。

お子さんがいる場合は、親権に関する動画などを視聴することもあります。

調停では、たとえば「相手の収入を確認したい」というときに、次回までに源泉徴収票を持参するように言われるなど、必要に応じて資料の提出が求められます。

このように、調停は1回で終わることもあれば、何度か繰り返すこともあります。

すでに話し合いがまとまっていて、書面を整えるだけなら1回で終わることもありますが、揉めている場合は半年以上かかるケースも珍しくありません。


離婚調停が成立した後の流れと注意点

調停でお互いが合意に達した場合、最終的には「調停調書」という文書が家庭裁判所によって作成されます。
この調書には法的な効力があり、簡単に言うと判決と同じような強制力を持っています。

たとえば、調停で慰謝料や養育費、財産分与などを支払うと決めたのに、相手が支払わなかった場合、裁判所を通じて強制執行が可能です。

最近の法改正により、特に養育費については相手の勤務先を調べる制度も整いました。
これにより、より確実に支払いを求めることができるようになっています。

調停成立後は、裁判所から「調停調書謄本」が交付されます。
これを持って市区町村役場に離婚届を提出することで、正式に離婚が成立します。

なお、離婚届には双方の署名と捺印が必要ですが、あらかじめ準備しておけばスムーズに手続きできます。


離婚調停を有利に進めるための3つの準備

調停で自分の主張をきちんと伝えるためには、事前の準備がとても大切です。
以下の3つは最低限押さえておきましょう。

1. 離婚に至った経緯を時系列でまとめる

自分が離婚を決意した理由や、これまでの出来事を時系列で整理しておくと、調停でも話しやすくなります。
たとえば、いつ頃から関係が悪化したのか、どんなトラブルがあったのかなどをパソコンやノートに書き出しておくとよいでしょう。

これは調停委員に状況を正確に理解してもらうために役立ちますし、弁護士に依頼する場合も説明しやすくなります。

2. 客観的な証拠を準備する

事実を証明するには、できるだけ具体的な証拠を集めておくことが大事です。

たとえば、DVやモラハラがあった場合には、次のような証拠が役に立ちます:

  • ケガの写真
  • 病院の診断書
  • 音声データやLINEの履歴
  • 精神的なダメージを受けた場合の通院記録

不貞(浮気)の場合であれば、写真や探偵の報告書なども有効です。
性格の不一致などであっても、メモを残しておくだけでも証拠として意味があります。

3. 相手の財産を把握しておく

財産分与では、夫婦の共有財産を公平に分けることが原則です。
ですが、相手が財産を隠すケースも少なくありません。

そのため、以下のような情報は事前に確認しておきましょう:

  • 銀行口座の支店名と残高
  • 所有する車の情報(ナンバー・車検証)
  • 加入している生命保険と解約返戻金の有無
  • 勤務先や退職金の有無

情報が多いほど有利に交渉を進めることができます。


離婚したくない側が気をつけること

調停では、相手が離婚を希望していても、自分は離婚を避けたいという場合もあります。
その際に重要なのが、感情に任せた発言を避け、冷静で誠実な態度を示すことです。

1. 自分の意見をまとめておく

先ほどと同様、これまでの経緯や自分の気持ちをまとめておきましょう。
「どこに問題があったか」「今後どうしていきたいか」などを具体的に伝えられると、調停委員も理解しやすくなります。

2. 相手を非難しすぎない

相手への批判ばかりを口にすると、調停委員からの印象が悪くなってしまうことがあります。
あくまで冷静に、自分の立場や考えを伝えることが大切です。

調停委員は中立的な立場ですが、人間ですので、態度や言葉遣いによって受ける印象は大きく変わります。


離婚調停は「準備」がカギ

離婚調停は、相手と直接話し合うのが難しいときに使える、とても重要な制度です。

きちんと準備して臨めば、自分にとって納得のいく解決につながる可能性が高まります。

調停を有利に進めたい方は、次の3つを意識してみてください:

  • 離婚に至る経緯を時系列で整理する
  • 事実を裏付ける証拠を集めておく
  • 相手の財産をできる限り把握しておく

また、離婚したくない方は:

  • 自分の主張を冷静にまとめる
  • 相手をむやみに非難しない
  • 誠実な態度で調停に臨む

それでも不安な場合や、どう進めればいいか迷っている方は、弁護士への相談をおすすめします。
相談するだけでも気持ちが楽になったという方も多いので、ひとりで抱え込まず、まずは一歩踏み出してみてください。

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